ホーム > 繊維工場の染色プロセスにおける省エネルギープロジェクト

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現地からのプロジェクトレポートを読む

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PEARは、アジアの最貧国であるバングラデシュ農村において、あのユヌス氏のグラミン銀行ファミリーで農村のエネルギー開発を受け持つグラミン・シャクティと協力関係にあります。

その活動のひとつとして、いまだに薪などを煮炊きに使っている同国全域の農村において、地産地消型再生可能エネルギーであるバイオガスを普及し薪を代替させるプログラムを行っています。それによって農家は不便で高価な薪から便利なガスに転換でき経済面・健康面・時間面・労働面などで大きな便益を受けることができるようになります。良質の肥料も得られます。また、この活動は森林破壊を食い止めるなど社会的にも多面的な便益のあるCO2削減活動です。

PEARはさらにこの活動を従来の公的資金による「援助」の枠組みを超え、すこし余裕のある農家がまわりのより貧しい農家にガス供給を行うという「ビジネス」を通じた自主的なチャンネルを動かすべく、グラミン・シャクティと活動を続けています。

Project背景

d_sensyokud_boiraバングラデシュでは、2,000もの工場があり最大の輸出産業である繊維加工業の急速な成長に伴い、繊維産業の省エネルギー・環境対応が必要とされています。
ただ、繊維産業には大量の水が必要となり、各工場では地下水をくみあげて利用しています。その結果、ダッカ周辺では、地下水の過剰利用による地下水位の低下や地盤沈下、特に乾期が終わる頃には、手押しポンプが枯れて家庭用水が使えなくなるといった問題が報告されています。
PEARは、2012年2月のバングラデシュ訪問時に、Green Project W.S.T (Water Saving Technology)と、グラミングループの一員であるグラミン・ニットウェアから、彼らの節水・省エネ推進活動のCDM化可能性についての相談と、将来のCDM化という点を通じたコラボレーションの可能性について打診を受けました。W.S.T は、バングラデシュの繊維加工分野において節水・省エネ技術を推進・普及するために、ドイツ人のDr. Engel Wolfram氏によって設立された非営利組織体です。W.S.T は、ノーベル平和賞を受賞したユヌス氏の有力なサポーターであるMr. Ashraful氏の理解と支援を受けており、Mr. Ashraful氏が社長を務めるグラミン・ニットウェアの工場等において、節水・省エネ技術の導入を模索していました。
PEARは、グラミンファミリーの行ってきていることやその背景となっている考え方に深く共感していて、2010年初めに知り合って以来、協力関係を築いてきています。当該PoAに関しても、PEARの目的である途上国でのエネルギー・環境問題をCDMによって解決するという点に合致し、PEARがCDM化を受け持ち、多くの工場での活動をバンドルするPoA(プログラム)化というアプローチをとることで、W.S.Tとグラミン・ニットウェアと共にその活動を普及促進することとなりました。

 

活用された技術

d_kakou繊維加工工場における「染色加工プロセス」は、準備工程から仕上げ工程までの一般的なプロセスを含み、右図のように示されます。
図からわかるように、非常に多くの要素プロセスにおいて、熱やスチームを用いた(化学的あるいは物理的)加工→水洗/湯洗→乾燥という、エネルギーを大量に使うプロセスがセットで介在しています。また、染色プロセス自体以外にも、多くの準備プロセスや仕上げ処理プロセスにおいて大量の水を使うプロセスとなっています。同時に、多くの薬剤が用いられます。
今回のCDM PoAにおいては、とくに水利用の観点から、染色技術「そのもの」を節水型、省エネ型、低薬品型の技術に転換する「化学的省エネ」を対象としました。いわゆるユーティリティーの省エネタイプではなく、生産技術そのものを改変するというクリーナープロダクションタイプの省エネです。
一方でJCM化においては、ムダに捨てている廃熱回収型の省エネルギー技術を用いています。ここでは、日本の(株)クロセのスパイラル型熱交換機が活躍します。
なお、これらに関しては、日本繊維技術士センター(JTCC)の専門家の力を借りました。

 

取り組み状況

CDM PoAの方は、バングラデシュ国全体の多くの繊維加工工場を対象にW.S.Tの節水・省エネ技術の推進を図るものです。最初の工場として、グラミン・ニットウェアの工場を対象としました。グラミン・ニットウェアはグラミングループの一員として1997年に設立され、その工場はダッカ輸出加工区(DEPZ)にあります。
グラミン・ニットウェアは、主にニットとその他の繊維製品を生産しており、5台の染色機で一日8トンの染色能力を持っています。染色は、材料や色などによって、適用する手法や染色時間、使用する化学薬品量などが異なります。
グラミン・ニットウェアの工場や、その他バングラデシュ国のほとんどの工場での既存の染色技術は、反応染色(100%コットン)、分散染色(disperse dyeing)+反応染色(CVC)及び分散染色(Polyester)が用いられてきています。また、低品質のコットン糸が使われており、着色のための化学薬品なども水の消費量増加の原因にもなっています。
当該PoAを通して、各工場の事情に合わせて、コットン染色のために直接染色、新世代(new generation)反応染色、CVCのためにワンバッチ染色、polyesterのためにcationic dyesの技術を導入しました。また、高品質のコットン糸の使用の推奨など、W.S.Tが各工場に対して事前調査・診断を行い、これらの適正な技術の推奨を行いました。
JCM化の廃熱改修型省エネプロジェクトの方は、CDMとは異なった工場を想定しています。

 

恩恵を受ける人

当該プログラムCDMの実施により、多くの繊維工場が経済的な便益を受けると同時に、バングラデシュの多くの国民が、下記の面において直接または間接的な恩恵を受けることができます。
バングラデシュの飲料水は、主に地下水が使われていますが、近年、織維加工工場の数の増加に伴う地下水の大量の水利用により、前述の通りダッカ周辺で地下水位の低下が著しくなっています。当該CDMでは、節水・省エネ技術の推進によって、織維加工工場における水の消費量を削減でき、バングラデシュの人々のくらしに必要な水の安全保障に貢献します。
さらに、ダッカ周辺地域では地下水位の低下による地盤沈下が発生しています。 織維加工工場における水の消費量の削減は、地盤地下の緩和にも貢献できるといえます。
また、酵素化学処理された繊維を扱う場合、長期的に労働者の呼吸器官などに悪影響を及ぼします。当該PoAによって導入される技術は、染色における酵素化学処理をなくすことで、労働者の労働環境の改善が見込まれます。
そして、節水=お湯消費削減という点で、CO2が削減されることになります。
もちろん、JCMの方の廃熱回収は、直接、エネルギー消費削減によるCO2排出削減につながるわけですね。
なお、燃料となる天然ガスは、いまではバングラデシュで非常に貴重な燃料となっていて、供給制限が行われる場合もあります。すなわち、工場にとってみれば、省エネはすなわちエネルギーコスト削減以上の意味を持ってきています。

 

カウンターパート

当該プログラムCDMにおけるカウンターパートであるW.S.T は、バングラデシュの繊維加工工場での染色過程において節水・省エネ技術を推進するために設立された非営利組織体であり、当該PoAの調整・管理(CME (Coordinating/Managing Entity))、プロジェクトにおける基礎情報の収集、追加CPAにおける工場の発掘、技術の選定またCPA実施を行いました。
グラミングループのひとつのメンバーであるグラミン・ニットウェアは、当該PoAの最初のCAP1の対象繊維工場であり、CPA1の実施及びモニタリングを実施しました。その他、JQAがバリデーションを実施しました。

 

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